道場での作法
さいしょに
1. 坐禅開始の「5分前」には入堂するようにします。
2. 禅堂に入ったときから修行だと考えます。
禅堂を歩くときは、叉手当胸 (さしゅとうきょう)をします。叉手当胸とは胸の上に右手を上にして、両掌を重ね、両手の親指を他の指から離し合わせることです。手をぶらぶらさせて歩いてはいけない決まりがあります。
入堂
座具置き場から、必要な枚数(2~4枚)の座蒲団を取り脇にかかえ、禅堂の後方堂内に入ります。
あいている所まで進み、自分の坐ろうと思う位置まで来たら、「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」の掛け軸の正面に向かって立ちます。
問訊(もんじん)します。問訊とは合掌しながら低頭する動作のことです。
直日(坐禅会の責任者)など役位の人が前方、聖持(出入りを取り締まる人)が後方に坐ります。それ以外なら自由な場所に坐って良いです。
わからない時は聞いて下さい。
問訊後、自分の座布団で坐るところを設けてから坐します。
警策を受ける時
坐禅の途中で助警(じょけい)が坐相の悪いのを直したり居眠りを注意するため、警策を捧げて堂内を回ります。警策とは修行者の肩ないし背中を打つための棒のことです。
坐相が悪ければ正します。坐相を正されたときには「互いに合掌」します。
肩が凝ったり、眠気をもよおしたときに警策を受けるとスッキリします。
警策を受けるには、助警が目の前に来たとき合掌します。互いに合掌した後、畳に両手をつき警策を受けます。
警策を受けたら、互いに合掌して坐禅に戻ります。
途中入出堂
坐禅中、気分が悪くなったときや、やむを得ない理由により退出するときは、前述の坐禅中に入堂する場合の逆の要領で退出します。
後方で出入りを取り仕切る聖侍(しょうじ)の前に座って合掌して退出の許可を得ます。
聖侍の前に坐る時は、体を斜めの向きに、お尻を文殊菩薩様に向けないようにして坐ります。
聖侍もまた合掌して返しますが、これで許可を頂いたということになります。
坐禅の途中で入堂する場合も、同じ作法で聖侍の前に座って合掌します。
この後は通常の入堂と同じ作法となりますが、他の人が坐禅している中ですから迷惑にならないよう静かに行動してください。
出堂
坐禅が終わって退出するときは、入堂の逆の要領になります。
静かに坐を解き、一礼して坐具を胸の前に抱え、掛け軸に問訊して、禅堂の後方より退出します。
座布団は坐具置場に返します。ファスナーは向こう側にして置くことが作法です。
坐禅の開始と終了
次のような流れです。
1. 柝(たく)二声 開始の合図。自分の坐の前に、叉手当胸して立つ。
2. 柝一声 合掌して着座し、静かに坐禅を組む。
3. 引磬(いんきん)三声 始定(しじょう)合掌してから数息観を始める。
4. 引磬一声、柝一声 一回目の坐禅終了。
5. 休憩(通常5分間) 合掌して楽な姿勢をとる。トイレにいってもよい。
6. 休憩終了 静かに坐禅を組む。
7. 柝一声、引磬三声 合掌して数息観を始める。
8. 引磬一声、柝二声 二回目の坐禅終了。解定(かいじょう)合掌して一礼後、坐禅を解いて退出する。
禅堂での注意
禅堂は黙堂とも言われ、坐禅をするための大切な場です。私語は固く禁じています。勝手な行動も禁じています。
携帯電話、腕時計のアラーム等はあらかじめ切っておいてください。
電気、水等の節約に努めてください。
煙草は、所定の場所で吸ってください。
貴重品は、各自で管理してください。
禅堂での作法は、周りの人にならって行ってください。
坐禅会参加のおすすめ
坐禅会は数息観の実修を目的としています。一人でも坐禅はできますが、一人では長続きしません。
多くの人が集まる坐禅会に参加して、仲間をつくることが継続のコツです。
はじめは、無理をしないでください。少ない時間でも、長く続けることが大切です。
じゅうぶん数息観に習熟して、本格的に禅の修業をする決心ができたら、摂心会(本格的な修行の会)に参加し、師家に入門することをおすすめします。