老師の紹介

 

 

人間禅石狩座禅道場師家・布野翠雲老師のご紹介

昭和30年東京に生まれる。東京都立白鴎高校卒。昭和50年北海道大学入学。恵迪寮入寮。良き友に恵まれ様々な活動に携わる。入学当初より北大公認坐禅サークル「絶学会」に入会し坐禅をはじめる。21歳のとき、「人生いかに生きるべきか」の疑団を解決すべく如々庵芳賀洞然老師に入門。2年を経て禅門の第一関門を透過し翠雲の道号を授かる。平成8年からは如々庵老師の法嗣了空庵堀井無縄老師について研鑽を重ね、平成14年法の源底を極め了々庵の庵号を授かる。平成27年、印可(*)を受け師家分上に任ぜられる。平成30年より了空庵堀井無縄老師の後を受けて札幌支部並びに函館禅会を担当する。
 社会人としては公立中学校社会科教師として長年にわたり生徒の教育にあたる(平成28年定年退職)。
(*)印可とは、仏祖と同じ境涯となり、師家として世に立ち堂々と法を挙揚すること。

 

 

法系図 新4.png

 

 

  老師のお話  

        

  令和4年 年頭にあたり

 

まずは、新年あけましておめでとうございます。

皆様には、ご家族お揃いで新しい年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。

 

さて、幸に今日は穏やかな天候に恵まれましたけれども、ここ45日は暴風が吹き、大雪となり、しかも湿った重たい雪でありまして、毎日の雪かきが大変だったここと思います。

この道場も、19日に屋根の雪下ろしをしたのですが、またドッサリ積もってしまいました。

 

さて、ここ二年ほど、世界中が「新型コロナ」で大変な思いをしている訳であります。

一日も早いコロナの終息を願わずにはおれないのですが、このコロナが終息すれば我々地球の未来は明るいのかといえば、決してそうは云えないようです。

 

次の未曾有の危機がすでに始まっているようです。

それは、地球温暖化による気候変動であります。

 

実は、一昨年、令和2年の新年垂示の中で、私は次のように申しております。


「それにしましても、こんなに雪の少ない新年もはじめてであります。

現在の札幌の積雪は0だそうです。

どうも地球環境がおかしくなっています。

昨年は大型の台風・大雨に襲われて被害が続出した年でありました。9月には台風15号によって、千葉では大規模停電が発生し大きな被害が出ました。10月に入りますと、台風19号が日本列島を襲い、各地で土砂崩れが発生しまして90人以上の方が亡くなられました。続いた台風21号では、記録的大雨で各地の河川が氾濫し、これまた大きな被害を出しました。こんなことは今までなかったのではないでしょうか?

この気象変動を何とかしないと明るい未来はないようです。

2030年までの、この10年間の取り組みしだいで、私たち人類の未来が大きく変わってしまうようです。

現在、産業革命前から地球の平均気温は1度上昇しており各地の氷が溶けだしているのはご承知のとおりですが、溶けないといわれていた南極の氷までが溶けだしているそうです。  

それが1.5度まで上昇すると、地球温暖化は加速し暴走しだしてしまう。いわゆる負の連鎖が起こってくる、手が付けられなくなる。その分岐点が10年後の2030年なのだそうです。

こうなることは前から分かっており、言われ続けてきたことのように思いますが、各国が利害の対立、損得勘定で、小手先の対策に終始し、地球温暖化に対する抜本的な対策がなされてこなかったのです。

夏休みの宿題を先延ばしにしてきて、いよいよ夏休みが終わる直前になって「ヤバイ!」と慌てている、そんな状況に似ています。

遅ればせながらやりきるのか!! このまま放置するのか?!

一刻も早く各国が協力し地球規模で、温室効果ガスCO2を減らす施策に真剣に取り組まなければならないでしょう。」

2020年の年頭に、こんなことを話しております。

 

こうしたことを話した矢先に「新型コロナ」が発生しました。

 

産業革命以後、人類が地球という惑星に与えた負の影響、そのしっぺ返しの前哨戦が「新型コロナ」だったのかも知れません。

 

そして、次に控えているしっぺ返しの本命、それが「地球温暖化による気候危機」かも知れません。

残された時間は少ないのです。

 

次のような試算があります。

「産業革命からの気温上昇を15度に抑える目標の実現は絶望的である。各国の2030年時点の目標がすべて達成されても、21世紀末までの気温上昇は24度になる」という試算です。

そうなれば海面上昇で沈む島国が出る。山火事や巨大台風などの自然災害、水不足、食糧危機、感染症のリスクが飛躍的に増大する訳です。

 

昨年10月にイギリスで開催された、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議、いわゆるCOP26でも真剣な議論がなされたようですが、何とか人類の叡智を結集して、各国が協力しあって、未来の子供達に安心して住める地球を残してあげられないものか。

こう、年頭に際して、思いを新たにした次第であります。


 さて、それはそうといたしまして、
 13日の本部での年頭垂示の中で、総裁は次のように申されております。
 「各支部・禅会が、担当師家のもとに本当の信をもって結集して力をつけていっていただきたい。そのためには、節目を大事にしていただきたい。節目を一つの糧として、支部・禅会の力をつけていっていただきたい」と、こう申されております。

 10年に一度は節目の記念式を挙行すべきと思います。札幌支部は65周年を平成293月に行っておりますので、令和7年(2025)の75周年に向けて、一歩一歩、歩を進めていただきたいと思います。

 

 

最後になりましたが、了空庵老師から励ましの御葉書を頂戴しております。最後に、それを拝読させていただきまして、年頭挨拶の締めくくりとさせていただきます。 

 

              合掌 布野翠雲

令和4年1月16日