摂心会

 


 

  「摂心」とは  


 「摂心」とは、心をおさめて散らさずという意味で、この期間中は、万事をなげうって、禅の修行に専心します。したがって、原則は会場につめきり、一同寝食を共にします。
 しかし、仕事などのため、止むを得ず外出する時は直日(じきじつ)の許可を得てから外に出ることになります。
私たちの支部では年4~5回、4日間から1週間の摂心会を開催しています。

 

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  (摂心の座禅風景)

 

 

  結制茶礼(けっせいされい)  

 

「結制」とは、『仏の制度と結ぶ』ということで、摂心会の前夜、厳粛に茶礼が行われます。
 明日から始まる摂心会に際して、師家(しけ)から垂戒(すいかい)が示され、役位の任命があって、共に茶菓を頂きます。

 

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  役位(やくい)  

 
直日(じきじつ):
 禅堂の責任者。修行者の先頭にたって、修行に骨折りながら、他の役位を督励し、堂内外の規矩(きくーきまりのこと)を保ち、静坐や作務(さむ)ー修行上の労働のこと、草刈りをしたり掃除をしたりするーの指揮をします。

助香(じょこう):
直日を助け、直日が差し支えある時はこれに代わります。

助警(じょけい):修行者の姿勢や態度を直し、怠けないように骨を折らせる役で警策(けいさく)をもって随時堂内を巡ります。

聖侍(しょうじ):禅堂の入口に坐って、みだりに出入りしないよう取り締ります。禅堂に出入りする者は、その許可を得なければなりません。提唱(ていしょう)の時は、講本侍者(こうほんじしゃ)となります。

殿司(でんす):仏殿の係で喚鐘(かんしょうーかね)を保管し、参禅・提唱・茶礼などのとき打つ役です。
    役位(やくい)  

 

  摂心の日課  

 

季節によって多少違いがありますが、次のような時間表にしたがって、進められます。

午前5時   起床(直ちに洗面、室内清掃)
5時20分   静坐
6時     参禅(さんぜん)
7時     朝食
8時半     作務(さむ)
10時    静坐
11時    参禅(さんぜん) 
12時    昼食(2時まで随坐。昼寝をしてもよい)

午後2時    作務(さむ)
4時      静坐
5時半      夕食
7時     提唱(6時20分より講本の下読み)
       講後 参禅(さんぜん)
9時半    開枕(かいちん) 就寝

 摂心会中、雑談は一切許されません。

 食後などに休憩時間がありますが、昼寝以外に体を横たえることは禁じられています。睡眠時間は比較的ゆっくりとってありますから、休むべき時は十分休んで、静坐その他の日課はきびきびと修行することが望まれます。

 

 

  提唱  

 

  講座とも呼びます。提唱は「宗綱を提(ひっさ)げもち来って大衆の面前に唱え出す」ことです。

 師家自身が体得している如是法を、講本というものをかりて、そこにまけ出すのです。始めての方は耳なれぬ用語も多いので、難しく思われるでしょうが、耳で聞き、頭で理解するのではなく、全身を耳にして三昧に聴聞します。

 学人は、開始前に、白隠禅師『坐禅和讃』を、最後には『四弘誓願』を唱和します。尚、聴聞は坐禅の形で行い、洋服の場合は、上衣をつけてください。講本はじかに畳に置かぬよう講本カバーを用います。

 

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  参禅  


 参禅とは、入門者もしくは参禅願いを提出した者(三禁令ー老師への独参時の決まり事ーを守ること約束し老師と面談のうえ、老師の許可をいただいた者)が師家からいただいた公案をいのちがけで工夫し、その見解(けんげ)を師家面前に提示し、その浅深邪正の勘別を乞う修行です。

 一人一人隠寮(師家の部屋)に行き、一対一のまことに厳しい独参形式で行われます。他にその類をみない独特なもので、学人が真剣に骨を折れば、大いに力を得ることができます。

 

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   作務(さむ)  

 課  
 作務は、坐禅による静中の工夫を、掃除や除草等の動態に移して、動作中に工夫を続ける修行です。

 同時に団体行動の中で協力して作業をやり抜くも修練します。単なる肉体労働や勤労奉仕ではありません。

 作務は“段取り・真剣・尻ぬぐい”の実修が肝要なことがらです。作業に相応しい服装をします。(ジャージー等)

 

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  食事  

 

 配膳係(典座ーてんぞ)が、細心の注意をはらい、心をこめて作った食事を会衆(えしゅう)は合掌していただきます。
 
 食事の前後には『食前の文ーじきぜんのもん』『食畢の偈-じきひつのげ』を一同で唱和し、静かによく噛んで食物を味わって頂きます。

 食事をする時は、予め食事表に希望を書き込んでください。食事表は摂心会全日程の朝、昼、夕の食事欄がありますから、希望のところに○印をつけてください。
 典座はその人数を確認して、事前に食材を調達し、調理しますので、なるべく早く○印をつけてください。食事は1食300円です。○印の数を数え、食事代を事前に納入してください。
 
食器は専用としますから、食後必ず各自で洗って何時も清潔にして所定の場所に置いてください。
 
石狩道場の食器棚は典座調理室入口右にあり、そこには食器類、箸、洗濯された白布が用意されていますので、各自で準備します。具体的には飯椀、汁椀、漬物皿、箸を白布に包みます。専門僧堂や他の支部ではこの他にふきんも備え付けますが、石狩道場ではふきんを備え付けた洗い場を用意しますので不要です。その一式は食器棚に置きます。食器棚の背面に氏名を記入してください。
 
食事の作法がありますが、石狩道場の廊下に作法を書いたものがあるので、事前に読んでおくとよいと思います。
 
 特に、気をつけていただきたいのは、漬物を一切れ必ず残しておくことです。食事が終われば、お茶をいただきますが、このお茶で飯碗等の食器を漬物で洗い清めます。

 

 

   作法  

 
 摂心会厳修中は終始一貫して本参の話頭(ほんさんのわとう)-師家からいただいた公案ーの工夫、未入門者は数息観の工夫に専念して、余念を混入しない為、禅堂内を歩く時は、叉手当胸(さしゅとうきょう)-胸の上に右手を上にして両掌を重ね、両手の拇指を他の指から離し合わせる。胸裡に公案を堅持工夫する精神の表れーします。
 禅堂に入ったら、文殊菩薩の真正面に立って合掌します。
 禅堂、食堂、浴堂は三黙堂といわれ、私語は一切禁じられています。
その他の作法は、役位等のやり方にならってください。
作法は通常の日常生活と違って慣れないと思いますが、見よう見まねで実行していると2,3日たつとそれが当たり前のように思えてきます。

 

 

 

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