座禅の仕方
◆初めての方向けの「坐禅の仕方」の動画はこちらです。
1. 環境を整える
環境
当初は室内の清潔で、できるだけ静かな所を選び、ただ、あまり明るすぎると気が散り易いので適度な明るさがいいでしょう。
時間
正式には「一炷香」といって長い線香が1本燃え尽きる長さ(約45分間)を1回としますが、初心の方は15分ぐらいから徐々に時間を延ばしていくのがいいでしょう。
体調
「適度の食事を摂取し、睡眠は充分なるがよしとする」といわれています。即ち、空腹時は避け、寝不足の状態でも良くない、ということです。食事の直後は30分から1時間程度は消化のための時間を摂って坐禅は避けて下さい。 また風邪などで体調が思わしくない時は無理に坐らないようにしてください。
服装
和服の場合は袴の着用が望ましいでしょう。洋服ならばできるだけゆったりしたもの、特に下に穿くズボン等はゆったりしたもので、ジャージでも構いませんが、ジーパンのような身体を圧迫するものは避けてください。女性でスカートを着用して坐る場合には長めのものでフレアー等が付いたものが望ましいです。
2.坐り方
座具

腰の位置

足の組み方

足の組み方は左右どちらでも構いませんが、どの坐り方でも「ひざ」が浮かないように注意してください。そして、尾てい骨と両ひざで作った正三角形の中心に身体の重心が落ちるようにすることが大切です。その要領は、尻をやや後ろに引き、下腹を前に出すようにするとよいでしょう。

更に、膝などが悪く日本座りができない人や外国の人などには、背丈の低い(座面の低い)和式用(背もたれのない)の椅子に腰かけてする坐禅の仕方もあります。とはいえ、体を安定させ坐禅に集中することを目指すのなら、できるだけ「結跏趺坐」や「半跏趺坐」を心掛けてください。
正しい姿勢


両手のひらは上に向け、右手を下、左手を上にして重ね、両手の親指の先端はかすかに触れる程度に軽く触れ合ってください。この時、両手で楕円形を作ることになります。…これを「法界定印」といいいまして、坐禅をする時に非常に大事な手の位置と形です(ある人は「この中(楕円の中)に仏様がおわします」というほどです)。そして、この「法界定印」を組んだ両手は宙に浮かせず自分の体のほうへ引き寄せます。ただし、肩やひじの力は抜いてください。法界定印を組んだ両手は、膝や組んだ脚の上に置いても構いません。
3.呼吸を調える
呼吸の仕方
まず肺の中にたまっている空気を全部吐き出し、吐き出しきったところで大きく息を吸い込み、そこでいったん止めます。 これを欠気一息(かんきいっそく)といいますが、これを2~3回繰り返し、その後はご自分の自然の呼吸にまかせます。 但し、ご自分のペースの呼吸でもできるだけゆっくりしたペースで「吸って吐いて」を繰り返し、忙しない呼吸をしないように心掛けてください。そして、徐々に吐く息のほうを吸う息よりも長めにするように工夫してください。そのようにすると、心がだんだん落ち着いてきます。これを「調息」といいます。
数息観
姿勢を調え、呼吸を調えた後は、心を調えるということになります。そのために「数息観」というものを行います。 これは読んで字のごとく「自分の息を観る」ということで、ご自分の息を「ひと呼吸ずつ数える」という方法で行います。 吸う息と吐く息で一つと数え、そのひと呼吸ずつを百まで数えるのです。百まで数えたら、また一に戻って、また繰り返します。 次第にそれを習熟してきたならば、以下の条件を守って心を調えていってください。
○ 呼吸を間違えなく数えること
○ 「呼吸を数えること」以外の雑念を交えないこと
○ 以上の二つの条件に反したらまた1に戻ること
人は「考える葦である」といわれるように、黙って坐っていればとにかく他の色々なことが頭の中に浮かんでくるものです。 けれどもその一つ一つに拘ってはいけません。浮かんできたらそれはそのままにしておいて、ひたすら「息を数える」ことに心掛けてください。これを「二念を継がず」といいます。只々「息を数えること」だけに集中して数息観三昧 (ざんまい)になりきってください。
三昧
三昧(ざんまい)とは、「今やっていること」に集中して成りきっていくことで、坐禅の行の最も大切なキーワードです。 ひたすら“今”に集中することです。学問でも仕事でも三昧になってやればその効果はてきめんです。また嬉しい時はその嬉しいことそのものに三昧になり、 悲しい時はその悲しいことに三昧になるのです。日常生活の随所で三昧になっていければ、人生これほど 楽しいことはないのです。