座禅の仕方

坐り方

 

 

1. 環境を整える

 

環境

 当初は室内の清潔で、できるだけ静かな所を選び、ただ、あまり明るすぎると気が散り易いので適度な明るさがいいでしょう。

 

時間

 正式には「一炷香」といって長い線香が1本燃え尽きる長さ(約45分間)を1回としますが、初心の方は15分ぐらいから徐々に時間を延ばしていくのがいいでしょう。

 

体調

 「適度の食事を摂取し、睡眠は充分なるがよしとする」といわれています。即ち、空腹時は避け、寝不足の状態でも良くない、ということです。食事の直後は30分から1時間程度は消化のための時間を摂って坐禅は避けて下さい。 また風邪などで体調が思わしくない時は無理に坐らないようにしてください。

 

服装

 和服の場合は袴の着用が望ましいでしょう。洋服ならばできるだけゆったりしたもの、特に下に穿くズボン等はゆったりしたもので、ジャージでも構いませんが、ジーパンのような身体を圧迫するものは避けてください。女性でスカートを着用して坐る場合には長めのものでフレアー等が付いたものが望ましいです。

 

2.坐り方

 

座具

zg.jpg座蒲と下の座布団(左) 座布団の二つ折り(右)
坐禅(座禅)をする時に使う座布団類を「座具」といいます。通常は和室などで使う綿入りの「座布団」(ウレタン入りはだめです)を先ず下に1枚敷きます(敷く時にファスナー側を後面に、座布団は必ず1枚だけにしてください)。腰を落とす後ろの所にはよく僧堂で使われる丸い形をし た「座蒲(ざふ)」を使いますが、無い場合には普通の座布団を2枚折りにして重ねます。使う枚数はその人の「坐り心地」で決めて構いませんが、この高さ調節が坐相 (坐った姿)に非常に影響しますので、「自分の高さ」というものを体で覚えてください。使い方は左の写真のように使います。

 

腰の位置

kosinit.jpg腰の位置
坐った時に膝が浮かない程度にやや浅目に坐り、両膝が確実に下に敷いた座布団に着くようにしてください。そして、両膝と尾てい骨で身体全体を支えますが、その正三角形のど真ん中にドッカと坐るイメージです。

 

足の組み方

swrkt_1.jpg結跏趺坐
写真にありますように、右足を左ももの上に乗せ、左足を右ももの上に乗せます。これを「結跏趺坐(けっかふざ)」といいます。
swrkt_2.jpg半跏趺坐
この結跏趺坐ができない場合 には左足を右ももの上に乗せるだけでも結構です。 これを「半跏趺坐(はんかふざ)」といいます。
足の組み方は左右どちらでも構いませんが、どの坐り方でも「ひざ」が浮かないように注意してください。そして、尾てい骨と両ひざで作った正三角形の中心に身体の重心が落ちるようにすることが大切です。その要領は、尻をやや後ろに引き、下腹を前に出すようにするとよいでしょう。
swrkt_3.jpg日本坐
結跏趺坐も半跏趺坐もできない場合には、写真にある「日本坐」も許されています。特に女性でスカートの場合にこの坐り方が便利です。
更に、膝などが悪く日本座りができない人や外国の人などには、背丈の低い(座面の低い)和式用(背もたれのない)の椅子に腰かけてする坐禅の仕方もあります。とはいえ、体を安定させ坐禅に集中することを目指すのなら、できるだけ「結跏趺坐」や「半跏趺坐」を心掛けてください。

 

正しい姿勢

tdsssi_1.jpg耳と肩が相対し、鼻とへそが相対する
「座具の上に五輪の塔を据えたような気持ちで背骨をピンと堅てる(伸ばす)」と いうことをすすめられます。即ち、あごは引きますが頭が前傾しないように注意してください。この時、耳と肩が相対し、鼻とへそが相対するように心掛けてください。口は軽く結んでください。そして、体を前後・左右に軽く小さく揺り動かしてみてください。この「前後・左右」に揺り動かした時の交わった点があなたの坐った時の「中心点」です、これを体で覚えてください。それが坐禅の時の最も安定した位置で、頭のてっぺんがいつもその位置にあるように心掛けてください。
tdsssi_2.jpg視線は前方1メートル位
こうしてあごを引いた時に、目線は自然とあなたの坐っている座布団から1mぐらい前に落ちるはずです。この時、目は前方を凝視しないように、軽く見開いてください。完全に目をつむってはいけません(つむると妄想などが起きやすく坐禅の邪魔になります)。
両手のひらは上に向け、右手を下、左手を上にして重ね、両手の親指の先端はかすかに触れる程度に軽く触れ合ってください。この時、両手で楕円形を作ることになります。…これを「法界定印」といいいまして、坐禅をする時に非常に大事な手の位置と形です(ある人は「この中(楕円の中)に仏様がおわします」というほどです)。そして、この「法界定印」を組んだ両手は宙に浮かせず自分の体のほうへ引き寄せます。ただし、肩やひじの力は抜いてください。法界定印を組んだ両手は、膝や組んだ脚の上に置いても構いません。

 

3.呼吸を調える

 

呼吸の仕方

 まず肺の中にたまっている空気を全部吐き出し、吐き出しきったところで大きく息を吸い込み、そこでいったん止めます。 これを欠気一息(かんきいっそく)といいますが、これを2~3回繰り返し、その後はご自分の自然の呼吸にまかせます。 但し、ご自分のペースの呼吸でもできるだけゆっくりしたペースで「吸って吐いて」を繰り返し、忙しない呼吸をしないように心掛けてください。そして、徐々に吐く息のほうを吸う息よりも長めにするように工夫してください。そのようにすると、心がだんだん落ち着いてきます。これを「調息」といいます。

 

数息観

 姿勢を調え、呼吸を調えた後は、心を調えるということになります。そのために「数息観」というものを行います。 これは読んで字のごとく「自分の息を観る」ということで、ご自分の息を「ひと呼吸ずつ数える」という方法で行います。 吸う息と吐く息で一つと数え、そのひと呼吸ずつを百まで数えるのです。百まで数えたら、また一に戻って、また繰り返します。 次第にそれを習熟してきたならば、以下の条件を守って心を調えていってください。

○ 呼吸を間違えなく数えること
○ 「呼吸を数えること」以外の雑念を交えないこと
○ 以上の二つの条件に反したらまた1に戻ること

 人は「考える葦である」といわれるように、黙って坐っていればとにかく他の色々なことが頭の中に浮かんでくるものです。 けれどもその一つ一つに拘ってはいけません。浮かんできたらそれはそのままにしておいて、ひたすら「息を数える」ことに心掛けてください。これを「二念を継がず」といいます。只々「息を数えること」だけに集中して数息観三昧 (ざんまい)になりきってください。

 

三昧

 三昧(ざんまい)とは、「今やっていること」に集中して成りきっていくことで、坐禅の行の最も大切なキーワードです。 ひたすら“今”に集中することです。学問でも仕事でも三昧になってやればその効果はてきめんです。また嬉しい時はその嬉しいことそのものに三昧になり、 悲しい時はその悲しいことに三昧になるのです。日常生活の随所で三昧になっていければ、人生これほど 楽しいことはないのです。